実績・事例と専門知識

賃料増額請求における評価手法についての直近の判例動向

賃料増額請求における継続賃料の評価においては鑑定評価基準上、差額配分法、利回り法、スライド法と賃貸事例比較法の適用が述べられていますが、実務上においては差額配分法とスライド法の組み合わせで判決が下されることが多くなっております。差額配分法とスライド法を重要視した直近の判決例について以下列挙します。

  1. 東京地裁令和3年3月17日判決(差額配分法70%、スライド法30%)
  2. 大阪地裁令和2年11月30日判決(差額配分法60%、スライド法40%)
  3. 名古屋地裁令和2年9月25日判決(差額配分法80%、スライド法20%)
  4. 福岡地裁令和2年7月14日判決(差額配分法50%、スライド法50%)
  5. 札幌地裁令和2年4月28日判決(差額配分法65%、スライド法35%)
  6. 東京地裁令和元年12月20日判決(差額配分法75%、スライド法25%)
  7. 大阪地裁令和元年10月8日判決(差額配分法55%、スライド法45%)
  8. 仙台地裁令和元年8月30日判決(差額配分法70%、スライド法30%)
  9. 広島地裁平成31年4月25日判決(差額配分法60%、スライド法40%)
  10. 東京地裁平成30年11月14日判決(差額配分法80%、スライド法20%)

これらの判決例から、差額配分法とスライド法の組み合わせが、賃料増減額請求訴訟における主流の評価手法であることがわかります。勘案割合については、事案によって異なりますが、概ね差額配分法が50%~80%、スライド法が20%~50%の範囲で設定されていることが分かります。

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

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