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賃料増額請求訴訟における重要判例④

最高裁第一小法廷平成26年9月25日判決(平成25(受)1649)

本件は、賃貸人が賃借人に対して賃料の増額を請求した事案です。最高裁は、賃料増額請求の判断に当たっては、不動産鑑定評価を重視すべきであると述べました。 不動産鑑定評価は、賃料の相当性を判断するための重要な資料です。不動産鑑定評価は、対象不動産の種類、構造、規模、立地条件等の個別的要因と、地域の賃貸市場の動向、経済情勢等の一般的要因を総合的に考慮して、賃料の相当性を判断するものであり、客観的かつ専門的な判断を提供するものです。

最高裁は、不動産鑑定評価が賃料の相当性を判断するための重要な資料であることを指摘するとともに、裁判所は、不動産鑑定評価の結果を十分に考慮すべきであると判示しました。裁判所は、不動産鑑定評価の結果を鵜呑みにするのではなく、その適否を慎重に吟味する必要がありますが、不動産鑑定評価が専門的かつ客観的な判断を提供するものであることを踏まえると、その結果を十分に尊重すべきです。 ただし、最高裁は、不動産鑑定評価の結果は、あくまでも裁判所の判断を拘束するものではないことも指摘しました。不動産鑑定評価の結果は、裁判所の判断を拘束するものではなく、裁判所は、不動産鑑定評価の結果を参考にしつつ、他の証拠と総合的に考慮して、賃料の相当性を判断する必要があります。

本判決は、賃料増額請求における不動産鑑定評価の重要性を強調した点で、不動産鑑定実務に重要な示唆を与えた判例といえます。不動産鑑定評価は、賃料の相当性を判断するための重要な資料であり、裁判所は、不動産鑑定評価の結果を十分に考慮すべきです。他方で、不動産鑑定評価の結果は、あくまでも裁判所の判断を拘束するものではなく、裁判所は、不動産鑑定評価の結果を参考にしつつ、他の証拠と総合的に考慮して、賃料の相当性を判断する必要があります。 また、本判決は、賃料増額請求の判断に当たっては、賃貸人と賃借人の利益の調整を図ることが重要であることも指摘しています。不動産鑑定評価においては、賃料の相当性を判断する際に、賃貸人の利益と賃借人の利益を比較衡量し、双方の利益の均衡を図ることを目的として行われるべきであり、賃貸人の利益のみを重視して賃料額を決定することは適切ではありません。 本判決は、不動産鑑定評価における賃料の相当性判断の基準と考慮要素を明確にし、賃貸人と賃借人の利益調整の重要性を指摘した点で、不動産鑑定実務に重要な指針を提供したものといえます。

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

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