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地代の継続賃料を算出する際に、積算賃料を求めるための基礎価格について更地価格を用いるべきか、底地価格を用いるべきか

地代の継続賃料を算出する際に、積算賃料を求めるための基礎価格については、更地価格を用いるべきか、底地価格を用いるべきかという点で議論があります。この点について、裁判例や学説等を踏まえて解説します。

  1. 更地価格説 更地価格説は、借地権の存在を前提としない更地の価格を基礎価格とする考え方です。この説によれば、借地権者が建物を建築して土地を利用することを前提とした場合、土地の価値は更地の価格で評価されるべきであるとされます。
  2. 底地価格説 底地価格説は、借地権の存在を前提とした底地の価格を基礎価格とする考え方です。この説によれば、借地権が設定されている土地の価値は、借地権の価値を控除した底地の価値で評価されるべきであるとされます。
  3. 裁判例の動向 裁判例においては、更地価格説と底地価格説のいずれの考え方も採用されているのが現状です。例えば、東京高裁平成25年1月30日判決(平成24年(ネ)第2484号)では、更地価格を基礎価格とすべきであると判断されています。一方、東京地裁平成26年4月24日判決(平成24年(ワ)第28185号)では、底地価格を基礎価格とすべきであると判断されています。
  4. 考え方の整理 積算賃料を求める際の基礎価格については、更地価格説と底地価格説のいずれが妥当であるかは、個々の事案の特性や契約内容等を踏まえて判断する必要があります。更地価格説は、借地権者の土地利用に着目した考え方であり、底地価格説は、借地権の設定による土地所有者の制限に着目した考え方であるといえます。

借地契約の内容や当事者の意思、土地の利用状況等を総合的に考慮し、適切な基礎価格を選択することが重要です。また、いずれの考え方を採用する場合であっても、賃料の増減額請求における衡平性の観点から、借地権者と土地所有者の利益のバランスに配慮することが必要です。 以上のように、地代の継続賃料の算出における積算賃料の基礎価格については、更地価格説と底地価格説のいずれの考え方もあり得るところです。個々の事案の特性を踏まえて適切な基礎価格を選択し、当事者間の利益衡量に配慮しつつ、合理的な賃料を算定することが求められます。

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

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