継続賃料を求める評価手法について
不動産鑑定評価における継続賃料の評価手法は、主に「差額配分法」、「利回り法」、「スライド法」、「賃貸事例比較法」の四つが用いられます。
「差額配分法」は、現行賃料と適正賃料の差額を当事者間で分配する方法で、市場の実勢を反映しやすい特徴があります。
「利回り法」は、対象不動産の経済価値に基づいて賃料を算出し、収益性を重視します。
「スライド法」は、直近の合意賃料に変動率を乗じて算出する方法で、急激な賃料変動を抑制する効果があります。
「賃貸事例比較法」は、類似の賃貸事例と比較して賃料を求める方法です。
この中で、実際の実務レベルでは特に差額配分法とスライド法をより多く採用する傾向にあります。
「差額配分法」は、現行賃料と市場賃料の差額を当事者間で分配する方法で、不動産市況の変動が大きい場合や長期間賃料改定がない場合に重視される傾向にあります。また、市場の実勢を反映しやすい特徴があります。
一方、「スライド法」は、直近の合意賃料に変動率を乗じて算出する方法で、経済指標の変動が緩やかな場合や短期間での改定に適しています。急激な賃料変動を抑制する効果があります。
実務では、これらの方法を適切に組み合わせ、対象不動産の特性や経済状況、賃貸借関係の継続期間などを考慮して評価を行います。裁判例でも、各手法の採用比率は事案ごとに異なり、公平性と合理性を重視した評価が求められます。
大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。