「継続賃料と新規賃料の違い:賃料増額訴訟における重要な視点」
賃料増額訴訟において、継続賃料と新規賃料の違いを理解することは極めて重要だと考えられています。両者の特徴と、訴訟における重要な視点を以下に示します。
- 継続賃料の特徴
継続賃料は、既存の賃貸借契約の当事者間で改定される賃料を指すとされています。以下の点が特徴的だと言われています
a) 賃借人の既得権への配慮が必要
b) 急激な変動を避ける傾向がある
c) 従前の賃料決定の経緯が考慮される
- 新規賃料の特徴
新規賃料は、新たに締結される賃貸借契約の賃料を指すとされています。以下の点が特徴的だと言われています
a) 市場の実勢価格を直接反映しやすい
b) 需給バランスに敏感に反応する
c) 個別の交渉により決定される自由度が高い
- 賃料増額訴訟における重要な視点
a) 継続賃料の特殊性の認識 継続賃料は新規賃料とは異なり、既存の契約関係や賃借人の利益も考慮する必要があるとされています。
b) 賃料の連続性 急激な賃料の上昇は避けるべきとされ、段階的な増額が好ましいとされる傾向にあると言われています。
c) 差額配分の考え方 新規賃料と現行賃料の差額を、賃貸人と賃借人で分配する考え方が採用されることが多いとされています。
d) 経済事情の変動の考慮 継続賃料の場合、経済事情の変動が重要な考慮要素となると言われています。
e) 賃借人の営業状況への配慮 継続賃料の場合、賃借人の営業状況も考慮される傾向にあるとされています。
f) 不動産の個別性の重視 継続賃料の場合、対象不動産の個別的な特性がより重視される傾向にあると言われています。
g) 鑑定評価の方法 継続賃料と新規賃料では、適用される鑑定評価の方法が異なります。
これらの視点を踏まえ、継続賃料と新規賃料の違いを十分に理解した上で賃料増額訴訟に臨むことが重要だと考えられています。また、裁判所に対しても、これらの違いを明確に説明し、継続賃料の特殊性を踏まえた判断を求めることが有効だとされています。
大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。