実績・事例と専門知識

「一棟のオフィスビル内の複数区画についての賃料増額対応」

ご相談の経緯と内容

築古のビルで一棟内に複数の小区画テナントが入居するビルで、各テナントとの契約期間も様々であり、賃料水準についてもばらつきがある場合の鑑定のご相談案件。

それぞれの区画について継続賃料の鑑定評価を行うと1件何十万円する鑑定評価のテナント数分の費用がかかるがコストの観点からそれは避けたいというご要望でした。

1件1件対応するとテナント数は100を超えるため、かなりのコストがかかることになります。

鑑定士の対応

いきなり継続賃料を評価するのではなく、まずは新規賃料を求め、各テナントに対し現状賃料との差額を訴えるための評価を行っていくことにしました。

新規賃料と現状賃料の差額が大きいことが理解されればテナントとしてもそれなりの賃料で妥結していただける可能性があり、そちらを交渉の際の資料として利用いただきました。

オフィスについては住宅のようにビル内の位置別、階層別による賃料水準の差が大きくはありません。

オフィスにおいて需要者が重要視するのは都心へのアクセスや最寄り駅からの距離などであり、住宅のように方角や日照についてはさほど重要視されず賃料が決まっていく傾向があります。

よってこの点でも同一ビル内であれば、おおよその賃料水準に収まることが想定され、余分な費用をかける必要がありません。

評価のポイント

本件においては、ビル内の標準的な区画の新規賃料を求め、それ以外の区画については位置別、階層別の効用比を算出のうえ新規賃料の総額一覧を作成いたしました。

効用比としてはほとんどの区画が標準的な区画と同じになりましたが、一部の区画については5%程度の上乗せをする区画もありました。

ビル自体は築古でしたが、都心へのアクセスは良好であり、オフィス市況の上昇局面であったため、現状賃料と比較すると新規賃料は1.5倍程度の差が出ている区画も多くありました。中には2倍以上の差がある区画もありました。

新規賃料と現状賃料との差額が大きい区画についてはテナントに対しても格安で賃借している状況であることが数字で示すことができます。

また、小区画であれば単価では大きなアップ率であったとしても総額ではそこまで大きな増額にはならないケースも多く、比較的交渉はスムーズと思われます。

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

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