実績・事例と専門知識

小区画店舗事務所における用途転換を視野に入れた賃料改定

相談の経緯と内容

店舗と事務所が混在するフロアの一区画において、現在事務所として利用されている物件の賃料改定に関する相談が寄せられました。対象区画は事務所用途としては低廉な賃料に抑えられていましたが、物理的な条件や立地環境を検討した結果、店舗として十分に利用可能な区画であることが判明しました。一般的に店舗と事務所では店舗の方が賃料単価が高く設定されるため、用途の視点から賃料改定の可能性を検討する必要がありました。

不動産鑑定士の対応

本件では、継続賃料ではなく新規賃料による評価を実施することになりました。現在の事務所用途にとらわれることなく、対象区画の最有効使用を検討した結果、店舗としての利用が十分に可能であると判断されました。店舗用途としての新規賃料を算定したところ、現状の事務所賃料と比較してかなり高い水準での設定が可能であることが確認できました。これにより、賃料改定交渉における強力な根拠資料を提供することができました。

評価のポイント

本事例の重要なポイントは、現在の用途にとらわれずに対象区画の潜在的な収益性を評価したことです。事務所として利用されている区画であっても、立地条件や物理的条件が店舗利用に適している場合には、店舗としての新規賃料を基準とした評価が適切となります。店舗と事務所の賃料格差は一般的に大きく、特に商業地域や繁華街近辺では顕著な差が生じます。賃料改定においては、対象物件の最有効使用を十分に検討し、現行用途に限定されない評価アプローチを採用することで、より適正な賃料水準を導き出すことが可能となります。このような視点は、特に用途の柔軟性がある区画において重要な評価要素となります。​​​​​​​​​​​​​​​​

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

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