実績・事例と専門知識

賃料増額請求、いくらまでなら認められる? 「新規賃料」と「継続賃料」は別物です

賃料の増減額請求など、不動産の価値評価が争点となる場面では、弁護士の先生方だけでなく、地主・資産家の皆様ご本人から直接お問い合わせをいただくことも少なくありません。ここでは、そうした地主様からよくいただくご相談の中から、賃料増額に関する初歩的な内容をいくつかご紹介します。

「今の相場なら、この賃料が妥当なはず」——地主様からご相談を受ける際、よくあるのがこの誤解です。実は、賃料増額請求で認められるのは、新しく契約する場合の賃料(新規賃料)ではなく、既存の契約を前提とした「継続賃料」という別の考え方に基づく金額です。

1. 新規賃料と継続賃料はなぜ違うのか

新規賃料は、今この物件を新たに貸し出すとしたらいくらか、という市場水準です。一方、継続賃料は、これまでの契約の経緯や、貸主・借主双方が積み上げてきた関係性を踏まえたうえでの、いわば「妥当な引き上げ幅」です。周辺相場が上がっているからといって、いきなりその水準まで引き上げられるわけではない、という点がよくある誤解です。

2. 継続賃料の算定に使う2つの考え方

  • 差額配分法:現行賃料と新規賃料水準との差額を、貸主・借主で配分する考え方
  • スライド法:契約時からの物価変動などを踏まえて、現行賃料を時点修正する考え方

どちらの方法がより説得力を持つかは、契約の経緯や物件の性質によって変わります。この見極めこそが、不動産鑑定士の専門性が生きる部分です。

3. 「相場より安いから」だけでは進まない

感覚的な相場観だけで増額を進めようとすると、後の交渉や調停で根拠不足を指摘されることがあります。継続賃料という考え方に基づいた裏付けを持つことが、次のステップである交渉を円滑に進める土台になります。

ご自身の物件の継続賃料がどの程度になるか気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

酒井 龍太郎

アゲハ総合鑑定株式会社 代表取締役

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。

弁護士向け不動産鑑定専門サイト

お問い合わせ

調停・裁判に特化した不動産鑑定ならお任せください。
不動産鑑定士が公正・中立な立場から鑑定いたします。