評価書提出から2〜3ヶ月で満額回答|権利変動のタイミングが地代交渉を動かした事例
はじめに
継続地代の増額交渉は、相手方が簡単に応じないケースがほとんどです。しかし、権利変動(借地権の譲渡や建て替えなど)のタイミングでは、交渉の構図が大きく変わることがあります。
本件は、借地権譲渡のタイミングに合わせて地代改定の交渉を行い、当方の評価書の数値どおりの満額回答を得た事例です。
事案の概要
- 物件: 大阪市内商業エリアに所在する土地
- 依頼者: 貸主代理人の弁護士
- 状況: 直近の地代改定から10年以上が経過。土地価格が大きく上昇しているエリアにもかかわらず、元々の地代が低廉に抑えられていた
- 交渉の背景: 借地権譲渡のタイミングで、譲渡承諾料の交渉と合わせて地代改定の交渉が行われた
鑑定手法と試算結果
① 差額配分法:約60%のアップ
対象エリアの土地価格は大幅に上昇しており、現行地代と現在の新規地代相場との乖離が大きく開いていました。この差額を配分した結果、約60%のアップという試算となりました。
② スライド法:約35%のアップ
直近合意時点(10年以上前)からの経済指数の変動率を検証しました。地価上昇を反映した指数に加え、その他の一般的な経済指数も加味した結果、約35%のアップという試算となりました。
最終的な鑑定評価額
両手法の試算を総合的に検討した結果、現行地代から約45%アップを継続地代の鑑定評価額として算出しました。
新規地代の水準にはまだ差があるものの、大幅な地代増額となりました。
結果:評価書提出から2〜3ヶ月で満額回答
評価書を提出してから2〜3ヶ月後、弁護士より結果の連絡がありました。相手方は評価書の数値どおりの地代増額をそのまま承諾。通常、45%もの増額には相手方が強く抵抗するケースが多いですが、本件では満額回答という結果となりました。
本事例のポイント
権利変動のタイミングが交渉を動かす
本件で満額回答が得られた背景には、借地権譲渡というタイミングがありました。借地権の譲渡や建て替えなど、権利変動の場面では借地人側も貸主の協力が必要となります。こうした局面では地代の見直しも含めた交渉がしやすく、通常では難しい大幅な増額も実現しやすくなります。
長期据え置きの地代は乖離が大きい
本件では差額配分法で60%アップという大きな数値が出ました。地価が大きく上昇しているエリアで地代が長期間据え置かれている場合、現行地代と市場水準との乖離は想像以上に開いていることがあります。
客観的な評価書が交渉を早期に終結させる 相手方が早期に承諾した背景には、専門家による客観的な評価書の存在があったと考えられます。感情的な交渉ではなく、数字による根拠を示すことで、交渉期間の短縮にもつながります。
弁護士の先生方へ
借地権の譲渡・建て替えなど、権利変動を伴う案件では、地代の見直しを同時に提案することで交渉が有利に進む場合があります。
「地代が長年据え置かれている」「権利変動のタイミングで地代も見直したい」といった案件はお気軽にご相談ください。
📞 06-6195-6537(平日9:00〜17:00) ✉️ info@ageha-kantei.jp

大学在学中の2005年に不動産鑑定士試験に合格。2007年3月 神戸大学法学部卒業。同年4月 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)へ入行し、退職する2015年まで不動産に関する実務に携わる。2017年3月 不動産鑑定士登録。調停・訴訟に特化した不動産鑑定士として、弁護士との協業実績多数。